第八話 「シーカヤックで沈して思うこと」 の巻


 昨年春、かねてからやってみたかったシーカヤックに挑戦しました。南伊豆のきれいなビーチから漕ぎ出し、洞窟や岬を回るガイド付きツアー!当日は結構な西風が吹いていて、初心者としては、ムムム!なかなか厳しいコンディション。案の定、ちょっと休むとずんずん流されちゃうし、パドルを高く上げすぎると風に煽られてヒヤッとしたり・・・。それでも楽しくて方々へ漕ぎまくっていたら、突然横波を食らって なんと沈!!!ガーン!

 ひょーっ、ディンギーでは慣れっこですが、まさかシーカヤックでもやるとは、もう笑うしかありません。アッハッハッハッハ〜、さぶい〜!びっくりしたなあ、もう。

 あとですね、もっとびっくりしたのは、ひっくり返った途端に周りの人(ガイドさんなど)が目の色を変えて助けに来てくれて、起こして水を抜いてくれて、もう一度カヤックに乗りこむために手を組んで足場まで作ってくれるんです!その後も、 「大丈夫?寒くない?」 などなど手厚いサポート。ディンギ―だったら、ヘトヘトになって泣き入っても、絶対に自分でやらなくちゃならないのに、海でこんなにも女性扱い(!)というか、過保護にされたのは初めての経験〜。

 挙句の果てに、自分の使ったカヤックを自分で運んだだけで 「わー、力あるんだねー」 などと言われる始末。あせあせ。何でも面倒を見てもらうということに慣れないせいか、はっきり言って気色悪かったです。(-_-;) 世の中の女性はこんなにもか弱くて大事にされているんでしょうかー。新鮮な驚きです。それとも最近は 《簡単!楽チン!即楽しい!》 って遊びじゃないと、世間ではウケないってことなのでしょうか。

 最近、ジョッシーチームでレースに参加することがあります。いっちばん最初のコラムで、 「いつかジョッシーだけでレースしたい〜」 なーんて書きましたが、あれから4年半経って、夢って言ったら大げさだけど、ささやかな目標に到達したわけです。まぁ実際の所、わたしはマッチレース超初心者としてずうずうしくも仲間に入れてもらっているだけなんですけどね。その時いっつも思うんですが、わたしのまわりのジョッシーセーラー達は実に気持ちのいい人間が揃っているんです。何が気持ちいいって、みんな精神的にとっても強くて、 「絶対に」 弱音を吐かないからです。そういうアタシは時々吐いてますけど・・・あうあう。

 誤解の無いように言っときますけど、強いジョッシーって言っても、男性顔負けの 【オンボード・ゴリラ】 みたいな肉体派が揃っているわけではありませんよ、念のため。

 海の上に出ると、どんなに大変でも自分達で何とかするしかないっていう場面多いですよね。パワーが足りなくてどうしようもなかったり、強烈にしんどかったりするけど 「とにかく、何とかしなきゃ〜!」 って場面。そんな時は吠えながら 「エイヤっ!」 で馬鹿力出して乗り切るんです。少々のことではへこたれません。みんなのそういう所、ダイスキ。

 一般的なジョッシーの場合、日常の生活ではそんな大変な思いってなかなかしないんじゃないかと思います。子供産む時と、あとは火事場の馬鹿力出す時ぐらい?すぐ諦めて、ちょっとぐらい弱音を吐いても、きっと誰か助けてくれます。男性諸君はやっぱりそのような 【 か弱くはかない女性 】 に惹かれるのかもしれませんケド。

 海は優しくて強いジョッシーを育てます。みんな情熱をもっていて、明るく朗らかでタフなのです。アタシが男だったら、絶対にこういうジョッシーがいいんだけどなぁ〜。

え?だめなの?チェッ!

 

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